海外レポート – 国際靴見本市「GDS 2011」in ドイツ デュッセルドルフ

国際靴見本市GDSの様子

(2011年 国際靴見本市「GDS」レポート/シューフィルZAT’S No.33より転載)

小売市場の活況を反映して、オプティミスティックなムード 来場者は2万4500人
独・デュッセルドルフで開催の国際靴見本市GDS&グローバルシューズが3月16~18日に開催された。グローバルシューズは途上国のOEMメーカーを中心とした見本市だ。
出展社は、GDS844社、グローバルシューズ376社、合計1220社。日本からの出展もあり、力王が6号館、タナカユニバーサルが4号館(ホワイト・キューブス)に出展した。

ドイツ靴産業の現状グラフ

来場者は、約2万4500人だった。オーガナイザー発表の最終リリースは、前年同期には触れていないが、来場者の反応は良好と伝えている。特に今回は水曜日~金曜日の3日間開催だったが、これについて「来場者は満足」としている。
こうした来場者の反応は、そもそも市場の好転に起因しているかもしれない。

ドイツ靴工業会が記者会見で発表したところによると、2010年年間売上高は、前年比10%増の21億3300万ユーロ。特に下半期の伸びが高く、前年同期比16.6%を示した。また内訳は、国内が6.8%増の15億3300万ユーロ、海外(輸出)が19.1%増の6億ユーロ。輸出の伸び率が高いが、この結果、輸出シェアは2.1%アップし28.1%となった。
輸出先は、86%がEU諸国。なかでもメインは東ヨーロッパ諸国で、最大の輸出国は、ポーランド。2010年の輸出高は、29%増加し2830万足。全体のシェアは16.4%。第2位に躍り出たのが、スロバキア。輸出高は38.2%増の1760万足(シェア10.2%)。第3位はオーストリアで、6.9%増の1630万足(同9.4%)。以下、オランダ、フランス、イギリスと続いている。
逆に落ち込んだのがロシア。2008年には500万足以上輸出していたが、2010年は300万足となった。
日本は、持ち直してきており、3.8%増の71万6000足だった。
輸入は12.9%増え、5億3300万足。輸入国は中国、ベトナムがトップ2だが、注目すべきはイタリア。かつてドイツは、イタリアにとって最大の輸出国だったが、長い間、減少する一途だった。それが2590万足となり、15.7%の増加を示したのだ。
靴小売市場も活況だ。ドイツの靴小売商連盟は、昨年の商況を次のようにレポートした。
2010年の靴専門店売上高は、8%増の79億ユーロ。アパレル店、百貨店、通信販売などを含めると、121億ユーロと推定される。連盟会員へのアンケートによると、購買頻度・単価共に増加し、品目毎の単価は、婦人靴82ユーロ、紳士靴91ユーロ、子ども靴61ユーロ(いずれも2010年下半期)。
好調は、天候に起因するところが大きい。昨年は冬が早く訪れ、かつ寒かった。加えてファッション・トレンドがムートンやファー使いに向いており、暖かそうなライナー付きのブーツが売れ、購買単価を引き上げた。
こうした小売市場の傾向を受けてか、GDSで提案された2011年秋冬物にも、ムートンや毛皮使いのブーツ系が目立った。これはミカムとも共通する傾向だ。
日本人の来場者については、東日本大震災勃発後の開催であったが、ミカム終了から1週間後であったため、帰国せずヨーロッパに留まり来場したケースが多かった。

文/写真/図:シューフィル

海外レポート – 国際靴見本市「MICAM(ミカム)2011」in イタリア ミラノ

MICAM2011

(2011年 国際靴見本市「MICAM(ミカム)」レポート/シューフィルZAT’S No.33より転載)

イタリア靴輸出は数量・金額共に2ケタ増、世界の市況は回復へ
~2011年秋冬新傾向は、ガラスとエナメルの台頭~
国際靴見本市MICAM(ミカム)が3月6~9日、ミラノで開催された。靴市場とファッションのトレンドを占う重要な見本市だが、来場者数は、前年同期比5.97%増の3万8812人だった。
3万8812人の内訳は、イタリア1万9224人、海外1万9588人、前年同期比は、イタリア8.68%増、海外3.44%増と、いずれも増加している。見た目では増加の印象は薄かったが、輸出データはイタリア靴産業の回復を示している。昨年の実績値は、11月までしか出てないが、それを基にANCI(イタリア製靴工業会)が推計したのが別表だ。

2009年2010年イタリア靴産業の生産数・輸出入数グラフ


2010年靴輸出は、67億742万ユーロ・2億2360万足、前年比はそれぞれ15.3%増・16.3%増。相手国別は1~11月の実績値となるが、主要国の伸び率は、フランス14.9%増、米国23.4%増、ロシア13.9%増。日本は金額3.5%増、数量0.4%増に留まったが、軒並み2桁の伸びを示し、世界的に景気が回復しつつあることを伺わせる。また生産も、67億3015万ユーロ・2億180万足、前年比はそれぞれ4.0%増・1.9%増と、わずかだが回復している。
しかし、ここで気付くのが、輸出数量が生産数量を上回っていることだ。輸出には再輸出が含まれているのだ。そして、ANCIのレポートは、再輸出品の輸入先がベルギーであることを示唆している。2010年においてベルギーは中国、ベトナムに次ぐ靴輸入国であり、ベルギーは、EU加盟国以外からの三角貿易の主役を果たし、イタリアに次ぐEUナンバー2の靴輸出国であることを、EU委員会統計局も認めている、記しているのだ。
つまりEU加盟国以外で生産されたものが、ベルギーに輸出され、それがイタリアなどに輸出され、さらにイタリアから他国に輸出されているということだ。
どこからベルギーに輸出されているかは、手許のデータでは不明だが、イタリアの靴輸入国(2009年)を見ると、中国、ベトナムに次いでルーマニア、チェニジア、そしてベルギー。その他EU以外の国を輸入量の多い順に記すと、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、アルバニア、セルビア、マケドニアなど。東ヨーロッパでもバルカン半島の国々、北アフリカが目立って来ている。この事実と再輸出の増加を重ねあわせると、イタリア靴生産の現状が見えてきそうだ。

ラリオの2011秋冬コレクションブースの様子

進むメーカーの合併、背後に韓国企業の影も
そして今回、会場を歩いていて気付いたことがある。それは靴メーカーのグループ化だ。ラリオ1898は、パリのサンジェルマンなどにブティックを構え、日本でも古くから知られる婦人靴メーカーだが、そのブースの外壁に「Lorenz Banfi」「Nebuloni」の文字が一緒に掲げられていた。ロレンツォ・バンフィはラリオと同格に歴史を持つ婦人・紳士靴メーカー、ネブローニは、1980年代にデビューした婦人靴ブランドだ。それがなぜ一緒のブースなのか。

「3社にストール・マンテラッシを加えた4社は、一つのグループです。2年前にラリオとマンテラッシ、昨年、バンフィとネブローニが加わり、4社のうち最大のラリオを主体としたジョイントベンチャーとして経営を進めています。ハンドメイドのマンテラッシは別ですが、工場を共有しラインを使い分け製造すれば、無駄が省け、かつ経営的にも強くなります」(ラリオ営業、ジャンルカ氏)。
ストール・マンテラッシはウェルト、マッケイ、袋モカなどの製法を駆使した高品質シューズとして知られ、本拠はフィレンツェ。ラリオはコモ、バンフィとネブローニはパラビアーゴとミラノ近郊が本拠だ。また、4社のグループ化は韓国企業の買収によるものだという業界筋の話もある。ジャンルカ氏は、社名は明かさなかったが、パートナーとしての韓国企業の存在は認めた。韓国とEUは昨年、FTA(自由貿易協定)を正式調印。今年7月に発効となるが、これを見据えた動きであることは確かだろう。
この他にも合併の事例はある。マレ(MARE)は70~80年代にファッションとして評価を高めた、マルケの婦人靴メーカーだが、3年前にファビ(FABI)の傘下に。また紳士靴のバラクーダも同時期に傘下入りした。ファビは、1万5000平米の本社を有するマルケの紳士・婦人靴メーカーだ。
イタリア靴産業は、再輸出の増加と産地対応を余儀なくされる状況下で、産地毎に企業合併を進め生き残りを図り、イタリアンシューズの発信力を維持しようとしているのだ。
2011秋冬物の傾向に簡単に触れると、目立ったのはムートン使いのショートやハーフブーツ、それにメダリオンやモカ縫いのパンプスやマニッシュなどのオーセンティック系のデザイン。つまりボリュームは、今秋冬と変わらない。そんな中、新しいトレンドは、ガラスとエナメルの台頭だ。ガラスはオーセンティック系のデサインに、エナメルはバレリーナを一歩進めたカッター、またパンプスに採用され、50~60年代調のエレガンスの台頭を思わせる。また、チェルシーブーツ風のショートブーツも目に留まり、モッズへの着目もありそうだ。
(取材協力=イタリア貿易振興会)

写真/文:シューフィル

トレンドニュース「2011-12 Autumn Winter Ladies’ Shoes Trend」

2011年、2012年秋冬新作コレクションの婦人靴3足

(2011-12年 婦人靴の秋冬トレンドとは/シューフィルZAT’S No.34より転載)

「正統、普通であることが、新しい。」
オーソドックスであることが新しい。イタリアの靴メーカーが、こんなことを言っていた。2011年秋冬は、まさしくそんなシーズンだ。数シーズン前からアメリカンへの傾向が見られ始め、昨年は確実にトラディショナルがトレンドとなった。要するにその傾向が、より顕著になったということだ。欧米の方がオーソドックス帰りの傾向が強く出ているように思われるが、日本でも基調は変わらない。震災の影響によって、サバイバル的なテイスト、つまりワーク調などカジュアル・テイストでの表現が強くなって現れることの予想される。

クラシックスタイルのパンプス


Authenic&Classic ~トラディショナルからニュートラへ~
昨年秋冬の代表アイテムを一つ挙げるなら、オックスフォード。メダリオンを施した紐締めのヒール物シューズ、つまりトラッドなのだが、2011秋冬は、ローファーやタッセルに移行、さらにビットやバックル型の金具付きのパンプスも登場。トラッドというよりニュートラ調エレガンスへの流れを見せている。正統派ファッションへの流れを象徴するテーマだ。

サバイバルスタイルのブーティー


Survival&Work ~サバイバルとしてのワークテイスト~
アメリカンへの傾向からアウトドアやワークテイストへの注目が集まっているが、この流れも継続している。東日本大震災、それによる帰宅難民、その体験、教訓から震災後、機能型の商品が売れているが、アウトドアやワークは、山ガールなどのファッションに留まらず、サバイバル・アイテムとして、秋冬ファッションの軸になりそうだ。

モダンテイストのブーティー


80’s Modern ~1980年代的モダンテイスト~
1980年代に注目された構築性、造形性を特徴としたモダンでミニマムな流れ。日本ではそれほどの注目を見なかったが、欧米では根強い。2011秋冬も、ストーム使いのプレーン・パンプス、またショートブーツやトップラインの深いパンプス、あるいはブーティとして継続している。特に後者は、パンツとの組み合わせで再注目ということになりそうだ。

ムートン、ファー付きブーティー


Survival 2-Fur ~ファッションとしてのサバイバル~
昨年はムートンを筆頭に毛皮使いのブーツがヒットしたが、毛皮=ファーは、2011秋冬もトレンド素材として継続している。最も一般的なのは、ムートン。カジュアル・ブーツへの使用が多いが、その他、ポニー、ラビットなど各種登場している。注目の背景は、サバイバル。大震災によらず、世界は特に経済的に厳しい環境。その中で生き残りのファッション表現だ。

マニッシュシューズ


Mannish&Sport ~マニッシュシューズとスポーツ~
外羽根や内羽根のプレーントゥやウィングチップ、男性靴のスタイルが女性靴のトレンドとして、ファッション最前線に浮上している。1980年代以来か。久々の現象だ。マニッシュとは、ヒールが低く、幅もあるため、それだけで機能的。トレンドに終わらせず、女性靴の定番として定着させたいものだ。また、下駄箱ワードローブに必須なのがスニーカー。加硫タイプが、ファッションとしての威力を持っている。

新作バレリーナ


New Ballerina ~ソフトからハードへ転移する~
バレリーナ人気はいつまで続くのか。トレンド・アイテムというより、コレクションになくてはならないスタイルとして定着した感がある。そんな中で変化が見られる。柔らかいバレリーナ本来の作りからハードへの転換だ。例えばアッパー素材ではエナメル、ヒールはよりしっかりと。かつてのニュートラのカッターシューズのような雰囲気が新しい。

新素材を使ったパンプス3足


New Material ~アッパー素材の新傾向~
素材の傾向に触れると、2011秋冬の大きな特徴は、エナメルの復活だ。そしてさらに新しいのが、ガラスの台頭。背景にあるのは、クラシックへの注目だ。それと気になるのが、エラスティック、つまり伸縮素材。1980~90年代に伸縮素材のパンプスやブーツがヒットしたことがあったが、エラスティック素材の使用をコンセプトとしたブランドも登場しており、ヒット再来の予感も。

写真/文:シューフィル