靴底(ソール)にわざと汚れを付けたり、バッテンマークを書く理由とは
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以前、靴屋の店頭であらゆる靴を販売していた頃、靴を購入いただいたお客様が、履いてきた靴を破棄して、買った靴をその場で履きおろすことも多かった。それが夕方や夜の場合では、「靴底にボールペンで×(バッテン)つけて」とお願いされることが多々あった。そのたびに理由を尋ねると「夜に新品の靴をおろすのは縁起が悪い(災いが起こる)から、わざと汚せば新品じゃなくなる」といった理由を言われるお客様がほとんどだった。
そのような言い伝えの理由って何でなんだろうと、ずっと思っていた。
今でもその明確な理由はわからないのだが、昔は靴は舶来物で高級品だったこと、道は現代のように舗装もされておらずつまづいたり転びやすかったこと、しかも電灯も少なく暗い夜道ではなおさらのこと。また、現在の靴と違って靴底も滑りやすい素材や形状だったことなどが影響していると推測している。
靴底に傷を付けるというのは、滑りやすいソールにわざと傷を付けて滑りにくくしたのかもしれない。革底なら新品時は滑りやすいので納得がいく。「傷を付ける→ペンで汚れを付ける」に変化したのかもしれない。
後から知ったのだが、仏教では「点浄(てんじょう)」という、僧侶が身に付ける袈裟(けさ)という布をおろす(新品で着始める)際、墨やペンで印を付ける(汚れを付ける)行為があるそうです。それは、その布を清浄なものとして区別し、袈裟としての使用を明確にするための儀式的な行為とのこと。汚れを付けることで、一つ気の流れを作り、悪い気が入ってきたらそれを祓って、良い気を循環させるという意味があるだそう。靴に汚れをつけるのも、この点浄が由縁かもしれない。
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