革靴の甲革(アッパー)についてしまった擦り傷、ひっかき傷、えぐれ傷などのキズの直し方・補修方法(やり方)をご説明します。ご紹介する傷補修方法は、靴だけでなく、バッグ、財布、ジャケットなど、他の革製品にも応用できます。
▼ 革靴についた傷(キズ)
▼ 傷(キズ)補修のイメージ
▼ 補修ケア用品を用意する
▼ 紙ヤスリ(サンドペーパー)で削る
▼ 補修剤を塗る
・布で塗る場合
・手で塗る場合
・補修剤を水で薄める
▼ 乾燥させる
▼ 靴クリームで仕上げる
▼ 補修完了
▼ 番外①:ワックスで仕上げる
▼ 番外②:マジックインキで傷を目立たなくする
(写真・説明文/靴のパラダイス店長 大嶋信之)
革靴についた傷(キズ)
今回は、革靴のつま先についた擦り傷の補修方法をご紹介いたします。
傷(キズ)補修のイメージ
革についた傷を補修する方法の全体イメージは、傷を中心にその周囲を紙ヤスリで削って、平らにし補修剤で埋めるといった要領です。
補修ケア用品を用意する
必要なケア用品を準備します。
1、補修剤(サフィール レノベイティングカラー補修クリーム)
2、紙ヤスリ(サンドペーパー)※できれば粗目~細目
3、水
4、靴クリーム
5、塗る布
靴クリームは仕上げ用で、今回は乳化性クリームとリキット液体クリームを用意しました。
紙ヤスリ(サンドペーパー)で削る
傷とその周囲を紙ヤスリを使って削ります。
キズの深さにもよりますが、深い場合は最初は荒目を使って削ります。
ある程度キズが目立たなくなるまで削ったら、細目のヤスリに切り替えます。
目のヤスリで傷がほぼわからなくなるくらい、できるだけ平らになるよう、丹念にやすりがけしていきます。
傷がほとんど見えなくなるくらい削ります。
周囲との段差もなく平らになるよう、広範囲で削っておくと、最後に綺麗に仕上がります。
補修剤を塗る
傷(キズ)がわからなくなるまで、紙ヤスリで十分削ったら、補修剤を塗り込んで埋めていきます。
布で塗る場合
補修剤を布にとります。
補修剤を削った箇所に塗っていきます。
手で塗る場合
布ではなく、手にとってもよいです。
洗えばすぐに落ちますし、傷の感触がわかりやすいので、手の方がうまくいく場合もあります。
傷に塗っていきます。
補修剤を水で薄める
補修剤を水で薄めると、手間と時間はかかりますが、伸びと浸透性が良くなり綺麗に仕上がります。
手の甲に補修剤をのせて、水で薄めます。
薄めた補修剤を、少しづつ塗り込んでいきます。
少量を薄くまんべんなく塗って乾かして、数回分けて重ねて塗っていきます。
水に薄めると、革への浸透性が良くなるため、綺麗に仕上がります。
削った箇所を補修剤で埋め、できる限り表面が平らになるよう心がけます。
乾燥させる
傷が完全に埋まったところで、乾燥させます。
靴クリームで仕上げる
仕上げに靴クリームを塗ります。
靴クリームを布に取ります。
靴クリームを塗ります。
乾拭きして仕上げます。
補修完了
傷はほぼなくなり、綺麗になりました。
以上で完了です。
番外①:ワックスで仕上げる
補修した箇所をより綺麗に仕上げたり、艶を出したい場合は、シューポリッシュや液体クリームを使って、ツヤ出し・コーティングします。
今回は、補修箇所がつま先なので、より艶を出すために、リキットタイプの液体クリームを上から塗ってみます。
ワックス成分で、艶も出ますし、コーティングされます。
まんべんなく塗るため、布で均一に伸ばし馴染ませ、他の箇所との境界をなくします。
最後にから拭きして仕上げます。
番外②:マジックインキで傷を目立たなくする方法
黒の革靴の場合、ちょっとした細かな傷や、色落ちを目立たなくする方法として、マジックインキを塗るのも効果的です。(黒以外の色は、革の色とインクの色がマッチしにくいため、あまりおすすめできません。)
ただ、マジックインキを塗るだけだと、周りとの色や風合いの差が気になってしまうので、塗ったらすぐに靴クリームを塗って混ぜると、自然な仕上がりになります。
補色したい部分に、マジックインキを塗ります。
塗ったらすぐ(インクが乾燥しないうち)に、靴クリームを塗ります。
インクを塗った部分と周囲に、靴クリームを塗って馴染ませます。
乾拭きして仕上げます。